【94】 京都「花灯路」2006 2006.03.15〜18
桜の季節を控えて、人枯れのこの時季、春浅い京都に観光客を呼ぼうという「京都 花灯路」。もうすっかり早春の古都の年中行事として定着した感のある東山の夜歩きに、今年も出かけてきた。
露地行灯の光に浮かぶ 産寧坂 →
午後4時、今日からお世話になる京都駅前のホテル「グランビア京都」に荷物を置き、館内のおばんさい料理「万彩」で、お腹を整える。

基本のセット(一汁ニ菜)に10品目ほどのおばんさいから3品を選んで添えてもらうのだ。まず、かやくご飯が出され、お替り自由の2杯目はジャコ飯が出てくる。
別にカツオの造りとデザートにメロンとイチゴを頼んで4300円は値打ちだ。
← ねねの道の途中、大雲寺の大鐘楼
午後6時30分、あたりもようやく暮れ始め、清水寺から散策開始…。寺の中は、毎年何度も拝観しているし、ライトアップも初年度から去年、それに秋の紅葉のときの夜間公開の際にも訪れたので、今回は省略させてもらって、坂を下る。
暖かな今夜は、たくさんの人出だ。女の人の和服姿が目立つ。妙齢のご婦人方のしっとりとした落ち着きはもちろん、若い女の子の着物姿も情緒深くて、古都の宵の風景に良く似合う。
道の途中に置かれている 大きな活け花 →
道中の10数箇所に活けられている。
高台寺も同様に境内へは入らず、寺の下の広場の特設舞台で開催されていたイベントをのぞいてみた。今夜の催し物は「琴と尺八の合奏」、しばらくお付き合いして、その下の圓徳院へ入ってみた。小堀遠州の傑作、巨岩大石の「北庭」のライトアップを期待して行ったのだが、夜のライトの中に浮かぶ規模では、安土桃山庭園の雄大さを映し出すことはできない。

圓徳院の門前を南北に延びる「ねねの道」を、北へたどる。規則正しく敷き詰められた御影石が、露地行灯の灯りに浮かび、行く手を誘う。
上手から、にぎやかな一団が現れた。人波のまん中に一台の人力車が引かれていて、白無垢に角隠しをかぶった花嫁が乗っている。よく見ると、その顔には狐の面…、狐の嫁入りだ。
圓徳院前の ねねの道、
法観寺の五重塔(八坂の塔)が見える →
円山公園の枝垂れ桜は、すでに春の準備を終えて、出番を待っているあでやかさであった。そうか、もう10日もすれば桜の季節…、また京都へ来なくてはならないのだ。
← 出番を待つ 丸山の枝垂れ桜
円山公園のせせらぎの中に揺れる灯り →
流れの中に立てられた竹筒に
ろうそくが点されている。
円山公園を抜けると、法然上人ゆかりの念仏草

堂「知恩院」だ。この寺は後世、江戸幕府の帰依を受けて、七堂伽藍が築かれ、今に残る大寺院になった。
わが国最大の木造楼門である「知恩院三門」の威容が、ライトアップに浮かぶ。山門といわず、三門と称するのは、空・無相・無願の三つの解脱の境地を表わす門であるからとか。
ライトアップに浮かぶ
知恩院山門の威容 →
知恩院の七不思議をご存知だろうか。板張りを踏んで歩くと「ホー(法)キケョー(聞けよ)」と廊下が鳴るという「鴬張りの廊下」。小学校の修学旅行でその廊下を歩き、「ホンマや、鳴る鳴る」と思った記憶も、もう45年ほど昔のことだ。
知恩院の七不思議はこのページへ→「
http://www.chion-in.or.jp/7hushigi/index.html」

青蓮院門跡の門前にある、大楠は幹周り5mを悠に越えようかという太さで、そこから伸びる枝葉は前の道を行く人たちの頭上を覆っている。いずれも大木である5本の木は、親鸞聖人のお手植だとか。
青蓮院門跡のご本尊は、熾盛光如来(しじょうこうにょらい)。読んで字のごとく、光そのものの仏様なのである。
前庭は、暗闇の中に青い光が明滅し、そのあとには仏を象徴する梵字が浮かび上がる。「ボロン」と読んで礼拝すると、ご利益があると書かれていた。
東山の峰の上に大きな丸い月が出た。今夜は満月だろうか。煌々と万象を照らす天上の月…、この月が、今度、満月になる頃には、京都は花の季節を迎えていることだろう。
明日から3日間、会議が続く。合い間を見て、何十年振りかの「広隆寺 弥勒菩薩」に会いに行こう。
翌日は雨…。会議を終えて
夕方から出かけた
東寺の阿弥陀如来 →
← 雨に煙る
東寺 五重塔
その翌日は、少し風が強くて寒い日だったけれど
良い天気。午前中 空いていたので、北野神社へ。
梅林はちょうど満開だった。
土曜日、午前中に広隆寺へ。昼から会議で3時30分に終了。友人がお茶を飲みに来いというので、夕方から大原の古い料亭へ出かけた。
お茶を飲む作法ぐらいは一通り知っている積もりで気軽に出かけたのだが、「夜咄」とかいう、本格的な茶事…。
夕暮れから始めて、夜長、ゆっくりとお茶を楽しむ催しとかで、薄暗い茶室で入れ替わり立ち代り様々にお茶が点てられていく。
食事になって、「飯・汁・飯・菜…」などと、順番が決まっているのには恐れ入った。お許しを願って、ひたすら美味しくいただいてきたが、それを別にすれば、久しぶりの形式美の彼方に広がる深奥の世界にひたらせてもらった。
今度は、食べる順番を調べていくぞ。ン、こんな無作法な輩は、もう二度とお呼びはないって?
「花灯路」 2005 2003 物見遊山トッブへ